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新幹線の開業でそれぞれ新しい人生を歩み始めた東海道本線の特急たち。その中で最も劇的な運命をたどったのが今回取り上げる列車である。すでに愛称が消滅しており、馴染みのないマイナーな列車だがそれゆえのエピソードがあったりするのだ。 その列車は名古屋のために生まれた 1958年、国鉄初の電車特急「こだま」が2往復デビューし、1960年には特急「つばめ」2往復が電車化され、東海道の特急は徐々に充実してきた。 戦前、超特急「燕」がそうだったように特急は最もメインである東京~大阪・神戸という区間を意識して設定・増発していた。増発する際、どこが重要かを考えれば当然な話である。 しかし実際、途中停車駅の一つである名古屋での利用客も多かった。 東京~名古屋では準急「東海」をはじめとする準急列車が数往復設定されていたが、速さと快適さから特急を選ぶ人は少なくなかったのである。 その上、特急のさらなる増発が求められていたことから、国鉄は1961年10月にダイヤ改正(通称「サン・ロク・トオ」)を実施し、東海道線にはそれまでのほぼ倍にあたる、7往復の特急を設定した。 その中に1往復、東京~名古屋に新しく設定された列車があった。 その列車こそが特急「おおとり」である。 「おおとり」は東京と名古屋の間を4時間15分で結んだ。 もっと言えば朝7時45分に名古屋を発車し、12時ちょうどに東京に到着。 そして東京を18時ちょうどに発車し、名古屋に22時15分に着く。 東京での滞在時間はジャスト6時間と日帰り出張するのにも十分なダイヤ設定であった。 編成は他の電車特急「こだま」「つばめ」「はと」「富士」と共通で151系電車の11両編成。 そのためつばめと同様、1号車には1等特別車「パーラーカー」が連結されていた。 3年働いた線に別れを告げ北海道第2の特急へ こうしてサン・ロク・トオ以降、東海道特急の全盛期の一員として活躍していた「おおとり」であるが、早くも転機が訪れる。 そう1964年10月。東海道新幹線が開業したのだ。それに伴い東海道線の昼間の特急は廃止。 「こだま」はその新幹線列車に召し上げられ、「富士」は夜行の寝台特急として(第2回参照)、「つばめ」と「はと」は新幹線と接続して九州へ向かう特急へ(第4回参照)それぞれ転属となった。 転属とは言っても「富士」は時間が夜に変わっただけで東海道を走っているし、「つばめ」と「はと」も大阪~神戸と短いながらもまだ東海道線の走行区間が残っていた。 だが「おおとり」だけは違った。 この改正で東北本線上野~青森に初めての寝台特急「はくつる」が登場したが、青森~函館で青函連絡船を介し、函館から札幌・網走・釧路へ結ぶ特急が新設され、これに「おおとり」と名付けたのである。 こうして「おおとり」はわずか3年で東海道を去り、北の大地にやってきたのだった。 ちなみにサン・ロク・トオでは北海道で初めての特急「おおぞら」がデビューしており、「おおとり」は北海道で2番目の特急となった。 その時のダイヤがこちら 函館~札幌は室蘭本線・千歳線を経由。今の特急「北斗」などと同じである。なので札幌で進行方向が変わる。網走行きはさらに遠軽でも方向が変わっている。 下りは上野18 30分発青森6 10着の寝台特急「はくつる」、そして青函航路3便から接続しており、上りは青函航路4便、そして青森22 40発の「はくつる」に接続し、上野に朝10 20に到着するダイヤが組まれている。 列車は特急型気動車のパイオニア、キハ80系12両編成で運転。(というか当時これしか特急型気動車がない。) 網走行きと釧路行きがあるが両者は滝川で分割・併合。列車番号からして網走行きの方が基本編成になるはずだが網走行き5両、釧路行き7両と、釧 路行きの方が多い。 しかも食堂車は釧路行きの方に連結されていた。 札幌を跨いで運転する最後の特急に 「おおとり」が北海道に移籍した翌年1965年には函館~旭川を室蘭本線経由で結ぶ北海道第3の特急「北斗」が、1967年には函館~旭川を倶知安・小樽経由で結ぶ北海道第4の特急「北海」が登場し、徐々に北海道にも特急が増えてきた。 その中で「おおとり」はしばらくは特に変化もなく安定した毎日を送っていたが、1970年に輸送力増強のため釧路行き編成を「おおぞら2・1号」として分離・編入した。これによって「おおとり」は函館~網走の単独運転となったのである。 ただしこの時、分離によって網走行きの輸送力が増強されたわけでもなく、6両と短い編成で10時間以上走るにも関わらず食堂車もなかった。 1972年、「おおとり」に待望の食堂車が連結され7両編成になった。 この時、本州では今まで気動車で運転されていた特急「白鳥」「いなほ」「ひたち」が電車化されることになり、そのあおりで要らない子になった80系気動車を北海道に転属させる。 これらの車両を使用して札幌~網走に新たに特急を1往復新設した。これが特急「オホーツク」である。 「オホーツク」の登場で札幌~網走の特急は「おおとり」と「オホーツク」との2往復体制となったのだが、1981年と1985年にそれぞれ急行「大雪」1往復ずつ特急に格上げされ「オホーツク」に編入された。 これによって「おおとり」1往復に対し、「オホーツク」3往復と、「おおとり」は徐々に肩身が狭くなってきた。 しかも1979年に北海道向けの新型特急気動車であるキハ183系がデビューし、今までキハ80系で走っていた特急を次々と置き換えて行く中、「おおとり」だけは置き換えられずキハ80系で淡々と走っていた。 「おおとり」は北海道の特急の中で一番最後、国鉄分割民営化間近の1986年11月でようやくキハ183系に置き換えられたのだった。 キハ183には食堂車が付いてなかったため、この「おおとり」は北海道最後のキハ80系使用列車であると共に北海道最後の食堂車付きの列車でもあったのだ。 (※厳密に言えば、寝台特急「北斗星」など食堂車連結は今でも存在するが道内のみ、または昼行だと「おおとり」が最後だと言える。またキハ80系全体の最後の運用は名古屋~紀伊勝浦の特急「南紀」である。) 国鉄が分割・民営化され、JRとなっても「おおとり」は相変わらず函館~網走の長距離で運転されていた。 他の特急は既に札幌を境に系統が整理されており、札幌を跨いで運用される特急はもはや「おおとり」だけとなっていた。 だが、この貴重な存在が運用における不合理さを生み出していたのは間違いなかった。 民営化翌年である1988年3月。 JR化後初の全国ダイヤ改正によって函館~札幌を「北斗」に、札幌~網走を「オホーツク」に任せて「おおとり」はその名前が消滅した。 東海道ではたった3年だったのに対して北海道では8倍の24年に渡る活躍であった。 歴史は繰り返す。 米原で新幹線から接続し、北陸の金沢まで最速で結んでいた特急「きらめき」が今は九州の博多~小倉・門司港を結ぶライナー特急として走っている。 かつて東京対九州の名門ブルートレインで名を馳せた寝台特急「はやぶさ」が今は東北新幹線の最速達列車に君臨している。 このように、一度廃止された列車の愛称が全く異なったところで復活するケースは鉄道史のなかにいくらかある。 しかし「おおとり」ほどあまりメジャーでないのに極端なのはあまり思い当たらない。 2012年10月13日
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こんにちは。ちぃは黒ちぃというちぃ。 簡単にちぃがどういう人間かというと 小学生のころから人一倍ドラえもんが大好きで、うる星やつらにもはまっており、 その一方で科学クラブとか入ったりパソコンショップに通ったりして理科に関心があり、 本はSFを図書館で熱心に読んでたり、映画ではやはりSFを好んでいたちぃ。 ただ美術と国語と社会とただ走る以外の運動が苦手だったので、 そのころから趣味がアニメ視聴で実益が理科によってしようと思ってて、 その態度は今も変わらないちぃ。 (でもときおり物語の夢を見てはよい話だったな、書けば良いかもと思うってのは、話作りに興味があるのかも) んで画像ですが、ちょびっツの白ちぃと黒ちぃのぬいぐるみ。 そういう画像を載せるだけちょびっツにはまってるちぃ。(ペットの写真を載せるのに似た禁戒かも)
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第二回「夜を駆ける蒼い流れ星、再デビューした特急」 東海道新幹線の開業は東海道本線・山陽本線の昼間のダイヤを大きく変えた。特に東海道本線を走る昼間の特急が全てリストラされたことが当時の時代の転換を象徴していると言える。 一方、夜を駆け抜ける寝台特急列車は「蒼い流れ星」とも呼ばれるブルートレインの人気が絶賛上昇中であった。 新幹線が出来たと言っても大阪までだったので、九州へ行く人にとってはまだまだ夜行の方が有利だったのである。 そんなわけで1・2列車さくら、3・4列車みずほ、5・6列車あさかぜ、7・8列車はやぶさに続いて、5番目の蒼い星が流れ出したのだった。その列車は9・10列車と番号がふられ、この愛称が付けられた。 富士 と。 富士の名は元々戦前、最初の特急列車の愛称として登場し、近年「はやぶさ」と共に最後の九州ブルートレインとして残り、2009年3月14日に廃止されたということで有名であるが、この寝台特急の新しい人生の始まりはまさにこの時である。 その時のダイヤがこちら 富士の編成は電源車1両と14両の客車の15両編成で、1号車と8号車に1等寝台車(今のA寝台車)、2号車に食堂車、7号車に2等座席車(今の普通車)、その他が2等寝台車(今のB寝台車)という内容。8号車から14号車は東京~下関でのみ連結される付属編成だった。 この編成内容「みずほ」と同様である。 当時は1等寝台車の中でもA,B,Cと三種類のグレードが存在し、みずほと富士はBのみが存在。さくらとはやぶさはAとBの2グレード構成とやや格が高め。 あさかぜもAとBだが、1等寝台車自体が6両もあり、ブルートレインの中でもフラッグシップ的な存在だった。 これで見ると富士はみずほと共に格下の感があった。 他の寝台特急が全て博多を通り、九州の西側や南側を結んでいるのに対して、富士は日豊本線を通り九州の東側の輸送を担う列車となった。 その後年を経て宮崎や西鹿児島まで運転される時代もあり、富士は廃止の日まで日豊本線を代表する寝台特急として存在し続けるのであった。 ところでこの富士、寝台特急として再デビューを図る前に2度の人生を送っている。 1度目は先にも述べたが、最初の特別急行列車。走り始めたのは明治45年(1912年)だがこの時はまだ愛称と言うものがなかった。 実際に愛称が付いたのは昭和4年(1929年)と世界恐慌の煽りをうけ、日本も大不況の真っただ中という頃。 どうにか世の中を明るくできないかと考えていた鉄道省(JRの前身の国鉄の前身)は東京~下関を結ぶ2本の特急に一般公募によって愛称をつけることを思いつく。 そして数ある応募の中から見事1位に輝いたのが「富士」であり、2本のうちの片方に付けられた。 ちなみにもう1本の特急には3位の「櫻」という愛称が付けられた。2位には「燕」が入っていたが、これは後に東京~大阪・神戸を当時としては恐るべきスピードで駆け抜けた特急の名前になる。 そういうことで各特急の最後尾にはその列車の愛称が書かれたテールマークが取り付けられ華々しく東海道を駆け抜けたが、そのうち戦争が始まると鉄道は徐々に軍需輸送に特化されていく。 1942年には関門海峡トンネルが開通し、九州は長崎まで運転区間が伸びたものの翌年 には「特急」というものがなくなってしまい、富士は第一種急行という種別に変更されてしまう。そして戦争が激化した1944年に廃止となった。命名から15年で消えるという運命にさらされたのだった。 戦争が終わり16年が経った昭和36年(1961年)10月、全国で大規模なダイヤ改正が行われた。ファンの間ではサンロクトオと呼ばれている。 この改正は7月に「もはや戦後ではない」と経済白書が歴史的名フレーズを残した通り、戦後からの復興が終息し、次の高度経済成長を見据えたものだった。 事実この頃から列車の混雑は増す一方、大幅な列車の増発が必要だった。 そんな状況から実に13本の特急が登場したのだが、その中に「富士」の姿があった。今度は電車の特急として東海道本線の降臨。1日2往復が設定され、1往復は東京~神戸だが1往復は東京~宇野で運転。当時の宇野は宇高連絡船を介し当時の宇野は宇高連絡船を介し四国の高松に連絡するための重要拠点。富士は四国連絡の役目も担い、つばめ・はと・こだま・おおとりと言った名だたる特急達と共に東海道を疾走したのだ。 しかし新幹線建設はすでにこの頃より前から既に始まっていた。電車特急として再デビューしたと同時に余命宣告をされた瞬間でもあった。 結局、富士が電車特急として君臨したのはわずかに3年。新幹線の開業に伴い特急達はそれぞれ転勤を命ぜられる。こだまは新幹線へ。つばめ・はとは山陽本線へ。おおとりは北海道へと大異動しているがそれはまた別の話。 その頃、寝台特急みずほは熊本行きと大分行きの2つの行き先を持っていた。だが門司で大分行きを切り離すと7両編成。少なくとも博多まではフル編成が欲しかったし、さらに増える需要を考えると大分行き編成を独立させてもう1本寝台特急を仕立てるべきと考えた。 そんな背景から東京~大分の新しい寝台特急の任は職にあぶれかけてる富士に託されることになった。特急として3度目の門出となった富士は1度目は15年、2度目は3年の命だったのに対し、実に45年もの間走り続けることになるという安定感を世に見せつけた。 西鹿児島行きの時は1574.2kmを24時間かけて走りぬく定期最長距離列車ともなった。 こうして富士はブルートレインの衰退によって一つまた一つと消えゆく僚友を見送りながら最後まで残り続け、東京対九州ブルートレイン終焉を自らの幕引きで飾ったのであった。 ところで本州と九州を結ぶ寝台特急は消えても寝台特急が消えたわけではない。東京からは高松行きと出雲市行きの電車寝台特急、サンライズ瀬戸・出雲が出ているし、豪華寝台特急、カシオペアと、トワイライトエクスプレスは健在だ。また今なおブルートレインで東北・北海道方面へ向かう、あけぼのや、北斗星は当分安泰のようだ。 さらにJR九州によると九州を1周する豪華寝台特急を計画中だと発表している。昔とは寝台特急を使う動機が変わってきてはいるが、まだまだ可能性がなくなったわけはない。 今後の寝台特急の動向にも注目である。 2012年1月22日
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9月16日土曜日 すっかり寒くなって終わって欲しいと願った夏がもう恋しい。 気温が変わりやすいのでかぜに注意しましょう 本題 雛たんが久しぶりにスレに来てくれました みんなも再会を喜んでいました、勿論ボクも 新しい人がいっぱいいたみたいだけど雛たん覚えられるかな 再開でテンション上がっちゃって ほっぺにキスをそれとなくせがんでみたら 少し困っていたようなので自重しますね、ごめんね雛たん 今日の雛苺スレ みんなで協力し合って 次スレ立てを滞りのないよう進めていました みんな仲良しですねぇ 困り顔の雛たん 追伸 これ1ページ1ページ作っちゃって大丈夫? どんどん増えちゃうよね、ひとつのページに 何日分か書き込んだほうがいいのかな? TOPに戻る 雛たん日記に戻る 好きにしていいよん -- 名無しさん (2006-09-20 00 40 30) うにゅ♪よっぴいさんの雛にっきなの〜 -- 雛苺 (2006-12-21 11 11 33) 名前 コメント
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注)前半はネタが混じっています。 コルベールがオスマンにガンダールヴの事を報告する下りですので、あまり好きではないという方は飛ばして下さい。 ミス・ヴァリエールが召喚した人間。彼は一見異世界から来たただの平民にすぎない。だが、彼の左手に刻まれていたルーン、 あれはまさか……伝説の使い魔のルーンではないだろうか… おれは使い魔になるぞジョジョーッ! 幕間其の二 伝説の使い魔ガンダールヴ 図書館で一人の教師が調べ物をしている。時折本を取り出してはパラパラとめくり、ため息をついて本を戻す。 何冊目になるだろうか、教師のみ閲覧を許される部屋で本をめくっていた彼はとある本を食い入るかのように読みはじめ、 やがて本を持って走り去った。 トリステイン魔法学院の院長オールド・オスマン。白い口髭と長い白髪に覆われた外見の彼は一見するとただの老人に見えるが、 その正体は年老いてなお膨大な魔力を持つメイジである。 そんな彼は今本を読んでいる。近くの椅子ではオスマンが雇った秘書、ミス・ロングビルが同じく本を片手に何かを書いている。 ゆったりと無限とも思われる時間が流れていく空間は突然入ってきた太陽、もとい光が頭に反射して眩しい コルベールが入ってきた事によって壊された。 「たた、大変です!オールド・オスマン!」 ちょうどシーザーという青年が吸血鬼になった祖父の弟子を倒すという山場を中断されたオスマンはあからさまに不機嫌な様子で本、 いや吸血鬼が連載しているという噂のある「戦闘潮流」と題した『マンガ』を置く。 「大変な事などあるものか。『味方だったはずの男が吸血鬼になった』事に比べればすべては小事じゃ。 …ええとなんだっけ………そう…コルベールよ。」 しかしコルベールは先程まで図書館で読んでいた『始祖ブリミルの使い魔たち』を押し付け、とあるページを指差す。 それに何事かを察したオスマンは 「ミス・ロングビル、席を外しなさい」 とロングビルに退席を命じる。 ロングビルはぼうっとした顔をしていたが、怒ったような泣いたような不思議な顔をしながら先程まで書いていた手紙を持ち、 ふらふらと部屋を出ていった。 ロングビルをちらちらと見るコルベールの目に「あーん!スト様が死んだ!」という手紙の文面が目に入ったが、 訃報を覗くのはよくないと思い直し、それ以上見るのをやめた。 「それでは話を聞こうではないか」 説明を始めるコルベール。 「先日ミス・ヴァリエールが不思議なルーンを持つ使い魔を召喚した事はすでにご報告した通りです。 その後、そのルーンが気になり調べていたのですが、ついに同一の物を発見致しました。 あのミス・ヴァリエールが召喚した使い魔のルーン!彼は間違いなく始祖ブリミルの使い魔、ガンダールヴです!」 オスマンの眉がピクリ、と上がる。 「ほう、始祖ブリミルの使い魔、ガンダールヴとな?」 「はい。何故彼がガンダールヴなのか、何故ミス・ヴァリエールに召喚されたのかはまだわかりませんがこれは大事に違いありません!」 伝説の使い魔が召喚されてきたという事はただ事ではない。それが何かはまだわからないが、いずれにせよ重大な事が起こるのであろう。 だが、万万が一コルベールの口からその事が伝わろうものなら騒ぎになるのは目に見えている。オスマンはとりあえず誤魔化す事にした。 「ふむ、しかしルーンが同じだからといってガンダールヴと決めつけるのは早計かもしれん。」 「…はあ…そうですか」 不承不承ながらも納得するコルベール。 と、突然扉が開かれる。先程出ていったロングビルだ。 「オールド・オスマン!大変です!ヴェストリ広場で決闘騒ぎです!教師達が眠りの鐘の使用許可を求めています!」 「決闘などたいした事もなかろう。どうせ若気の至りじゃろ」 「しかし、決闘しているのはギーシュ・ド・グラモンとミス・ヴァリエールの使い魔の青年です!」 「「なんだと(ですって)!!」」 オスマンが慌てて遠見の鏡を起動させると、二人は広場の様子を食い入るように見つめるのであった。 to be continued…
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「このギアッチョによォォ~ 容赦しねェだと?ええ?おい やってみろクソガキがッ!!」 とは言え、男―ギアッチョには最初からフルパワーで行く気はなかった。よってたかってピンク頭に野次を投げかけていたガキ共は、ギアッチョの凍てつかんばかりの殺気に恐れをなして蜘蛛の子を散らすように我先に逃げ出していたし、年齢から考えて教師であると思われるハゲ野郎は仲間を呼びに行ったのかもうこの場にいない。ちなみに当のピンク頭は彼の下で腰を抜かしている。 ―そのオレに恐れることなく立ち向かってくるガキ・・・どうやらこいつが筆頭格の強さを持っていると理解していいようだ―ギアッチョはそう考えた。こいつをブッ倒し、奴らの戦意を喪失させてからここを出る。なかなかいい作戦じゃあねえかおい。 「今ここでオレのジェントリー・ウィープスを全開にすればこの中庭を丸ごと凍らせるのはたやすい・・・しかし逃げ出したガキ共にそいつを見られると面倒なことになりそうだからなァァ~~」 「何をぶつぶつ言ってるのよ!くらいなさいッ!」 キュルケが言い放ちざま大型の火弾を打ち出すが、ギアッチョはそれを意にも解さずキュルケに向かって歩き出す―氷でシールドを作ることもせずに。その余裕ぶりにキュルケはカチンときたが、「いいわ、ナメているのならそのまま燃え尽きればいい」と思いなおした。2・・・1・・・着弾ッ!! バシュウゥウゥウッ!! 「なッ・・・!!」 しかし火弾はギアッチョに当たる寸前、大量の水をブッかけられたかのような音を立てて「消え去った」!! 「そんな 嘘でしょ・・・!?」 眼前の出来事を信じられないキュルケは2発、3発と火弾を放つ。しかしまぐれであれという彼女の 願いも虚しく、彼に撃ち出された火弾はその全てが直撃寸前に消滅するッ! ギアッチョは歩き続ける。氷のように冷たい眼でキュルケを見据えて。 「炎ってよォォ~~・・・」 ザッ・・・ザッ・・・ 「一般的には火が激しくなったものを言うんだが・・・」 ザッ・・・ザッ・・・ 「実際に火が激しいはずの単語には炎じゃなくて火が使われることが多い」 ザッ・・・ザッ・・・ 「噴火だとか火柱だとかよォー・・・ 」 ザッ・・・ザッ・・・ 「なんで噴炎って言わねぇーんだよォォオオォオーーーッ それって納得いくかァ~~おい?」 ザッ・・・!ザッ・・・! 「オレはぜーんぜん納得いかねえ・・・」 ザッ・・・!! 「な・・・何なの・・・こいつ・・・」 キュルケはもはや完全に敵に呑まれていた。ギアッチョがついに目の前までやってきたというのに―構えることすら出来なかった。そして。 バキャァアアッ!! 「なめてんのかァーーーーッこのオレをッ!!炎を使え炎を!チクショオーーームカつくんだよ! コケにしやがって!ボケがッ!!」 キュルケは宙を舞った。 「うぐっ・・・い・・・痛ッ・・・ フフ・・・だけどおかげで眼が覚めたわ 今よフレイムッ!!」 「ムッ!?」 どこからか現れた化け物が―実際にはギアッチョの眼に入っていなかっただけだが―彼に向かって火炎を吐き出す!しかしそれも彼に当たる直前にことごとく消え去ってゆく。「・・・まだ理解しねーのか?え?おい 隙を突こうが無駄なんだよッ・・・・・・」 そこまで言ったところでギアッチョは気付いた。今火を噴いた化け物の存在に。 「・・・なんだァ~?こいつがてめーのスタンドってわけか・・・?」 とは言ってみたが・・・どう見てもこれは「ビジョン」ではない。実体である。 ―いや・・・そういうスタンドがあってもおかしかねー・・・世の中にゃ無生物に命を与える スタンドもいるくれーだからな・・・―ギアッチョはそう思いなおすとキュルケに眼を戻し、 「こいつでブチ割れなッ!!」 直触りを発動しようとしたその時。 ドゴォッ!! 「うぐぉおぉッ!?」 上空からギアッチョに空気の塊のようなものが撃ちつけられた! 「タバサ!」 キュルケが日の落ちかけた空に向かって叫んでいる。 「ナメやがって・・・上かァーーッ!?」 ギアッチョが見上げた空には。 バサッ これまたどう見ても実体の― 「ドラゴン・・・?」 ―それに乗ってこっちを見下ろしている少女。そして何より彼女の後ろに二つの月が 「・・・なんだ・・・ありゃ・・・」 二つの、月が。 ―ここはトリステイン王国の― 「マジで・・・別世界だってェのか?」 流石のギアッチョも呆然とせざるを得なかった。 ルイズはじりじりとギアッチョに近づいていた。正直自分が何かの役に立つとは思えなかったが、因縁の相手のはずの自分を体を張って助けてくれたキュルケを見殺しになど出来なかったのだ。キュルケは「とっとと逃げなさいよゼロ!」と必死に眼で語っているが、そこは妙な意地を張らせたらトリステイン一のルイズである。聞き入れるわけがなかった。 一方ギアッチョは―静かに沸騰していた。 ここが花京院もビックリのファンタジー世界だとほとんど確定してしまった以上、とりあえずは武器を収めて情報の収集にかかるのが最善手だろう。しかしギアッチョに売られた喧嘩を見過ごす選択などあるはずがない。 「後のことは・・・てめーらをブッ倒してから考えるッ!!そっちが空中にいるってんならよォォ~~ ちょっとだけ本気をださせてもらうぜェェェー!!」 ギアッチョの足元が凄まじい速度で凍っていく。それはギアッチョの靴を覆い足首を覆い・・・ルイズは眼を疑ったが、どうやら氷のスーツを形成しようとしているらしい。 ―マズいッ!! 少女は遅まきながら確信した。何だかよく分からないがこいつの魔法はヤバい!この氷の発生速度、スーツを形成する精密さ、何よりそれが無詠唱で行われているということ!更にこの殺人をも厭わない覚悟!どこまで暴れるつもりか知らないが・・・死人は出る!絶対にッ!そしてそれを阻止するチャンスは今ッ、このスーツが完全に形成されるまでの間しかないことを! ルイズは反射的に動いていた。反射的に―だが決死の覚悟で、ギアッチョに飛び掛ったッ!完全にタバサに気を取られていたギアッチョは一瞬反応が遅れ、そして―ルイズの殆ど頭突きのようなキスをまともに「食らい」、頭からブッ倒れた! 「ガフッ!!てめー何をしやがったァァ~~!?毒か!?スタンド・・・いや魔法かッ!?」 ギアッチョとは逆方向にブッ倒れたルイズは、よろよろと立ち上がりながら告げた。 「・・・契約よ・・・!」 「・・・ああ?どういう事だッ!ナメやがって クソッ!・・・・・・ぐッ!!?」 ギアッチョの左手が光り始め、 「っづぁああぁああぁあああああッ!!!」 その甲にルーンが浮かび上がったッ! こいつを説得するなら今しかない!ルイズはギアッチョの前に仁王立ちになる。 「聞きなさい!あなたがどれだけ強いか知らないけどここには300のドラゴンを一人で倒した 偉大な学院長や太陽拳を使える先生がいるのよ!これ以上騒ぎを起こせば先生方は 黙ってないわ!万一囲いを破って逃げ出せたとしてもあなたみたいな危険人物は四六時中追っ手に追われ続けるわよ!悪魔の軍団を一人で倒せるような追っ手達にね!」 半分以上は今適当にでっちあげた話だったが、 「・・・」 ギアッチョには思いのほか効果があったようだった。ルイズは疑われる前に話を進める ことにする。 「ま、貴族を3人も殺そうとしたんだから今のままでもまず終身刑は免れないわね ちなみにあなたが入るのは水族館と呼ばれる脱獄不能の監獄よ!」 これもデタラメである。 「・・・で、てめーはオレにそれを聞かせてどうしようってんだ?え?おい」 食いついたっ!ルイズは心中でガッツポーズをした。 「話は最後まで聞きなさいよ あなたが罪を問われない方法が一つだけあるわ・・・ 私の使い魔になることよ!」 「・・・・・・一応聞いとくが・・・そのツカイマってのは何なんだ」 「主の剣となり盾となるものよ」 「・・・・・・」 一瞬の逡巡の後、ギアッチョは舌打ちをしながらもルイズに答えた。 「まぁいいだろう・・・この世界のことがわかるまではここにいるのも悪い選択じゃあねぇ」 実際は一度使い魔になってしまえば死ぬまで契約は執行されるのだが―今それを 言うとこいつはまたブチ切れるだろうと思ったのでルイズはとりあえず黙っておくことにした。 ←To Be Continued・・・ 前へ 戻る 次へ
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